「実写版パトレイバー」がヒドイ 「実写版パトレイバー」がヒドイ

「実写版パトレイバー」がヒドイ

筆者は「機動警察パトレイバー」が大好きである。小学生の頃コンビニで初めて単行本を読んで一発で惚れ込んだ。昔からガンダムのようなロボット物が好きで、アニメも色々見まくった。その中でもパトレイバーは個性的だった。


ロボット物のクセに人間臭いストーリー

舞台は警察組織vs犯罪、主人公機は最新機種だが乗ってる隊員は半端者の落ちこぼれ、部隊への世間の評価は悪く、それなりに苦労して東京の平和を守るおまわりさん達が活躍。よくあるヒーロー物と違い、主人公機が無双するわけでなくよく壊れる。マンガ内での「味のあるフィクションリアリティ」がすごく魅力に感じた。

実写版制作発表、しかし・・・

普通ならファンは喜ぶであろう朗報も筆者にとっては冷ややかなものだった。二次元作品の実写化実例は数あれども、「成功例」は皆無である。ここでいう成功例とは興行収入や視聴率などどうでもいい、私個人の感じる「作品の完成クオリティ」である。現在でもジャニーズや AKB に代表される「ゴリ押し配役」、予算の都合によるクオリティの低い映像や小物、三次元で無理やり二次元を表現しようとすることによる「異次元ギャップ」などなど、実写化によるガッカリ事故は数え切れない。二次元には二次元の、三次元には三次元の表現や演出がある。アニメやマンガの実写化には、そもそも無理があるのだ。

マンガやアニメとは異なる次元の物を作ろうとした努力は垣間見える

舞台となる警視庁警備部特車二課第二小隊は、レイバー需要の低下に伴うレイバー犯罪件数減、当初からの予算問題で存続は難しい、という設定である。仕事は殆ど無くいつも暇で、窓際部署的ポジション。

オリジナリティか、もしくはアナザーストーリーを印象付けようとしたのかしらないが、名前や習性が微妙に違う登場人物を二次元と同じポジションに配置するということをやってのけている。

泉 野明 ⇛ 泉野 明

もはやギャグ。漫画、アニメ作品ではレイバーの搭乗に憧れて特機隊に入ったボーイッシュで細身な女性隊員。情熱はあるが機械にはあまり強い方でなく、ゲームも特別上手い方ではない。→実写版では暇さえあれば携帯ゲームに熱中、劇中ではあまりレイバーの操縦に熱意を感じさせる描写はない。俳優はムチムチした女性でイメージは二次元と異なる。

篠原 遊馬 ⇛ 塩原 佑馬

有名レイバーメーカーの二代目であり、そのせいもあってレイバーに詳しいという設定が、実写では何故かただのミリオタにされてしまっている。薄ら寒くマニュアルチックにうんちくを語り、年上に対しても口の聞き方がなっていない、まるで「おっさん」のような青年。

太田 功 ⇛ 太田原 勇

すぐに銃をぶっ放したがるトリガーハッピー熱血漢が、どういうわけかアルコール依存症という設定に。職場のデスクの引き出しに酒を忍ばせ勤務中に飲酒。太田は確かに問題児ではあるが、法令遵守の意識は高かったはずだが。この人物の設定をした人(押尾監督?)にとっては「発砲好きな熱血漢」はアル中に見えるらしい。

香貫花・クランシー ⇛ カーシャ(エカテリーナ・クラチェヴナ・カヌカエヴァ)

理路整然と論理的な思考だった香貫花に対して、すぐに感情的になりロシア語(?)でまくしたてるカーシャ。研修目的で赴任したロシア女性でヘビースモーカー。閑職特車二課で何を研修するのか知らないが、ガリガリの細身で繰り出される銃剣アクションと格闘は、何か製作者の「性嗜好」的なモノを感じさせる。


不安は的中

さして期待もせずに WOWWOW で初放送(Ep:0)を見てみると、期待を裏切らない立派な内容であった。大好きなレイバーはピクリともせず、軍隊主義の整備班がマーチングをやりだす始末。往年ファンは元より、新規ファンを獲得できるとどうして思ったのであろうか。パトレイバーのために有料放送を契約した人は気の毒である。

ドリフノリの爆発落ち、空手、コンビニ籠城、熱海怪獣襲来、スナイパー対決などなど、そこにイングラムの存在感はない。パトレイバーでやる理由が見つからない、制作側の暴走を延々と見せつけられる苦行。一番堪えられなかったのは飯を食うシーンで、俳優の食事の仕方が汚らしかったことである。ぼくはぱとれいばーをみるのをやめました。

設定はともかく面白ければいい。おもしろければ

原作無視でオリジナリティを出せば叩かれ、逆に忠実でも叩かれ、実写化とは悲しい事業である。元あるネームバリューを武器に楽をしようとしているから当然か。それもこれも面白ければ問題ないのである。

叩かれるのはただ純粋につまらないからである。無名オリジナル作品なら見向きもされないが、いかんせん有名に乗っかってる以上批判されるのは避けられないだろう。

今回のパトレイバーはあまりにも酷すぎて、ファンとして許せん!とか美しい思い出を返せ!とかそういった感情は発生しない。ふつうにつまらない番組としてネットしながらなんとなく見ている程度である。むしろ実写化ではなく、最新アニメ技術で「機動警察パトレイバー」を見てみたい、と思うのは私だけだろうか。



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