何故株価暴落、為替変動で電車が止まるのか?




イギリスが国民投票でEUからの離脱を正式に決定。この国民投票の結果に法的拘束力はないらしいが、EU残留を主張してきたメルケル首相が辞意を表明したことにより、それに向かって動き出すことになる。

世界経済の先行きが不透明であることや金融不安など、様々な要因により株価や為替が大きく変動。これによりお決まりの「首都圏内の公共交通機関が事故により遅延する」といった現象が散発している。

何故株価の暴落や為替の変動で電車に飛び込む人が現れるのか?相場に縁のない人にも解りやすいように解説してみよう。

株や為替で利益を得る仕組み

株や為替で利益を得る仕組みは難しくはない。100円で買った株が1,000円になった時に売却し決済すれば900円の利益になる(通常は取引手数料や株売却益に税金がかかる)。

為替も同じで、1ドル100円の時に1,000ドル買っておいて、1ドル110円の時に売却すればおよそ10,000円の儲けである。

これは相場の世界で言うなら「買い」とか「ロング」といわれる取引である。

もう一つは「売り(空売り)」とか「ショート」と呼ばれる取引である。

ある株式銘柄が値が下がると予想して、1,000円で「空売り」する。予想どうり500円まで値が下がり、ここで「空売り」した銘柄を「買い戻す(決済する)」。すると下がった価格の500円が利益になる。持っていない株を「借りてきて売りに出し」、「買い戻して借りた株を返却」する方法だ。マイナス何株所有、という状態を作りだすことが出来るので、これなら価格が下がる方に対して利益を出せる。もちろん、空売りした銘柄が値を上げたら、返却すべき株の買い戻しに余計なお金がかかるので損をすることになる。

これが売り(空売り)の仕組みだ。借りた株は必ず返却しなければならず、いろいろな理由から「買い」よりもリスクが高いのが普通である。

資産が吹っ飛ぶほど投資につぎ込まなきゃいいのに

と思う人がいるとおもうが、もちろん相場参加者もバカではない。最近はインターネットによる自動取引なので、「これ以上下がったら自動で決済、損失を抑える」といった事をアプリ等の設定でできる。自分の資産に致命傷ダメージが出る手前で損失を確定させる安全装置があるのだ。

しかし数十年に一度の大荒れ相場だと、この設定をしていてもヤバイ時がある。

株取引を行う証券会社や為替取引のFX会社は大量の注文を一度に捌かないといけない。会社のサーバーの処理速度なんかによるが、相場参加者の設定した損失ラインを大幅に超えた位置で決済してしまうことがある。為替ではこれが顕著で、普段1時間で0.02~0.04円の変動をふらふらしていてその値幅で利益を得ているFX参加者に、いきなり数秒間で1円単位の値動きがあったりするともうヤバイ。-0.1円で損失確定、これ以上損するとヤバイって設定しているのに、決済がずれ込んで-1.0円で決済とか・・・よくある話である。

ドラゴンボールで例えるなら、初出場の天下一舞踏会で悟空とクリリンが戦っている時にベジータが乱入してきたようなものである。しかもベジータは悟空が「まいった」という暇さえ与えずギャリック砲で地球を木っ端微塵にしてしまった。生き返らそうにもドラゴンボールも粉々な状態である。

通常FXや株取引では参加する前にこういったリスクに対して同意しているので「絶対認めない!」と主張しても聞いてもらえない。めでたく全財産没収!となる。

数千万資産があったのに、朝起きたら口座に100円しかなかったら・・・・そりゃぁ電車にも飛び込みたくもなる。

何だお金がなくなっただけじゃん、生きてりゃなんとかなるんだしまた稼げばいい、自殺なんてバカのすることだ。そう思う人も多いはず。しかし本当の地獄はここからである。


証拠金取引でリスクも夢もレバレッジ

株や為替で取引をする際、実際に預けたお金の額よりも多くのお金を動かせる。これが証拠金取引である。株取引の場合、1,000万円預けたら3,000万円まで取引が可能(レバレッジ3倍)。FXはもっと大きなレバレッジを設定できる。ちまちま稼いでても埒が明かないのでドーンと儲けるぞ!という人にはうってつけである。

手持ちの資金より大きなお金を動かせるなんていいじゃん!と思うだろうが世の中そうそうおいしいだけの話など無い。

証拠金取引の場合、相場参加者が頑なに決済を拒んでも証券会社やFX会社が「これ以上損失を出されると、レバレッジ分の資金が回収できない」と判断されればそこで強制決済となる。証券会社に1,000万円預けて、バレッジ3倍で証拠金取引をする。3,000万円分いろんな株を買っておいたら、今回のような大暴落で持ち株の値段が合計2,000万を切りそうになった、としよう。3000万から証拠金として預けている1000万円と同じ額下がっているのでこれ以上損失が出ると、この人からお金を回収できるかどうかわからない、と証券会社は判断して強制決済するのだ。そもそもレバレッジを掛けて証拠金取引をせず、手持ちの資金だけで取引をしていれば、この人の場合333万円しか損しなかった事になるし、強制決済もされずに再起に賭けることも出来たのだ。

証拠金内で収まっているなら無一文で済むが、前述の決済タイミングのズレで損失が証拠金を上回った場合、証券会社やFX会社は足りない分を「追徴金」として請求する。数千万単位の資産をふっ飛ばした後、更に数千数百万の借金ができるのだ。

しかも株取引や為替取引による損失は破産適用外なので現時点での日本ではチャラにすることは不可能。まともな神経の人は会社に行く気も失せて布団の中で現実逃避、数日放心状態であろう。

妻子に内緒で取引していた人はどうだろうか。住宅ローンも残っている、子供の養育費や老後の資金が全て吹っ飛び、さらに借金が増えたのである。しかも徐々にではなく一夜にして人生が逆転してしまった。

気がついたら電車に飛び込んでしまう気もわかるような気がする。まともな精神状態ではないだろう。

 相場はほどほどに

人生とは長い。成功もすれば失敗もする。教科書に乗っている偉人はみんな挫折を経験している。生きていれば再びチャンスも来るかもしれない。

電車に飛び込んでしまう人のストレスを数値化したら、多分失恋や上司に怒られるとかとは比べ物にならないぐらい大きいのだろうと思う。これからのことを思うと、一番楽な道が「死」だったのかもしれない。だがそれも自分で選んだ道・・・自業自得である。遅延により会社や学校に遅れる人にはいい迷惑である。

反対に今回のような相場で莫大な利益を出した人がいることも忘れてはいけない。



コメント

メールアドレスが公開されることはありません。